日本で台風情報を見るに当たり、一般に多く利用されている気象機関は気象庁、JTWC(米軍)についでECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)だと思います。
JTWCとの一番の違いは、JTWCが5日間予報に対し、ECMWFは10日間予報という点でしょう。
今回は世界一の数値予報精度といわれているECMWFの予報情報の見方についてご説明します。
ECMWFについて
ECMWF(ヨーロッパ中期予報センター)は、1975年に設立された世界気象機関と同じ国際機関でイギリスに本部があります。
ECMWFの設立目的は以下の通りです。
●中期気象予報のための数値解析手法を開発すること
●中期気象予報を作成し、加盟国に配信すること
●これらの予報を向上させるための科学的・技術的研究を行うこと
●適切な気象データを収集し保管すること
ここの数値予報は世界最高レベルで、日本の気象庁は10年遅れだという識者もいるくらい、最先端の数値予報解析技術を持っていると言われています。
ECMWF中期予報の見方
①まずECMWFのサイトにアクセスします。
②上部メニューバーの【Forecasts】(画像黄色矢印①)にポインターを乗せ、サブメニュー内の【Charts】(画像赤矢印②)をクリックします。
③チャート画面が開いたら【Medium range】(画像青色矢印③)をクリック。
④Charts catalogue画面が開いたら、【High resolution forecast】(画像赤色矢印④)をクリック。
⑤ヨーロッパの予想天気図が開きますので、メニュータブ【Area】(画像赤色矢印⑤)を選択し、【Asia】(画像青色矢印⑥)を選択する。
⑥暫くするとアジア地域の予想天気図に切り替わります。
10日間予報の見方について
まず地図下側にある操作バーで予報対象の日付を指定します。
矢印ボタン(赤矢印部)をクリックするか予報対象日エリア(青色矢印部)をクリックすると、基準日時を起点に、1日(24H)ごとの予報が10日後まで確認できます。
ちなみに一番右の再生ボタン(黄色矢印部)を押すと動画で見ることができます。
表示時間に9時間プラス
見たい日にちを選択すると、その日の予想天気図が表示されますが、UTC(世界標準時)になっていますので、日本時間に直すには+9時間して下さい。
上記の例ですと、
「Wednesday 12 August 2015 12UTC ©ECMWF Forecast t+192 VT : Thursday 20 August 2015 12UTC」
と書いてありますが、これは
2015年8月12日 水曜日 12UTC(日本時間21時)を起点とし、192時間後(8日後)の予報結果(8月20日21時)
を示しています。
凡例
続いて台風の見方ですが、数値予報結果は天気図のように表現されておりますので、等圧線の表示で台風の位置を把握できます。
画面右側に緑や黄色のカラーバーが表示されており、これが風速を表しています。
日本では17.2m/s以上の風速がある熱帯低気圧が台風として認定されますので、黄緑色の部分が出てきている熱帯低気圧があれば注意が必要です。
ちなみにカラーバーが示す風速は以下の通りです。
最後に、いくら最先端の気象技術でも10日先の予想ともなりますと正確性は低くなってしまうので、6日より先の予想は、あくまで参考程度情報として見るのが良いでしょう。
合わせてJTWCや気象庁の情報と総合的に判断し、台風に早めから備えるのが最善だと思います。
↓